脳血管障害戸と鍼灸 半身不随による関節拘縮と運動麻痺|松山市の鍼灸院|半身不随、うつ病、がん、不妊症

中医鍼灸 越智東洋はり院

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脳神経科系

脳血管障害と鍼灸 半身不随による関節拘縮と運動麻痺

脳神経科系 2015年10月09日

脳血管障害に対する予防と治療を目的とした特殊な針治療の方法に「醒脳開竅法」があります。
この治療法は、中国の天津中医学院第一付属医院の元院長である石学敏教授が開発したものです。

 

私が留学した当時は石学敏先生は現役の医院長として臨床にあたっており、幸いなことに先生から直接何度か指導を受ける期会に恵まれました。
先生の刺針のすばやさと刺針したのちに行う飛法と呼ばれる針に捻転をくわえる方法はきれいという言葉でしか表現できないようなすばらしいものに見えました。
天津第一附属病院の研修では、患者さんの治療を許され時々実際に患者を治療することができました。これは私にとって大変勉強になりました。

 

しかし、この治療法は日本ではあまり行われておらず、中四国では私の知る限りではほんの数ヶ所でしか行われていないようです。
その理由は技術が難しいということもありますが、中国では鍼灸師は医師であり、病院で行われているため鍼灸院とは違い「醒脳開竅法」が自由に急性期の患者さんにも行えるという日本とは鍼灸師の地位が異なることが一番の原因と考えられます。
日本では脳卒中の患者さんが鍼灸院に来られるのは三ヶ月以上たってからで、後遺症としてリハビリなどの治療の効果が見られなくなった段階です。中には1年~2年以上たってから来られる方も多く見られます。
この段階になってから、何かよい治療法はないのかということで、初めて鍼灸治療を知ることとなります。
このことについてはもう少し早く来院すればよい効果が得られるのにといつも残念に思っています。

 

中国では「醒脳開竅法」は発症直後の急性期から行われるものですが、私たちが日本で行っているものは、慢性期の主に半身不随や片麻痺で見られる関節の拘縮や運動麻痺の改善を目的とした「疎通経絡」を中心とした治療です。
醒脳開竅法には脳血管障害から発生する様々な症状に対する治療法が含まれています。
それらの治療法は脳血管障害から発症する症状に対する治療として開発されたものではありますが、実はそれらの方法を利用することで原因が脳血管障害以外で発症した症状に対しても大変よい効果を発揮することができます。
醒脳開竅法の治療がどのような症状に対する特殊な治療法を含んでいるのかについて下記に書いておきます。

 

まず、急性期と慢性期で治療は異なります。
そして、下記のような各々の症状に対する治療法が定められています。

 

①運動麻痺
②言語障害
③失明
④肩関節痛
⑤中枢性顔面麻痺
⑥便秘
⑦尿貯留(尿閉)
⑧尿失禁
⑨難聴
⑩褥瘡(じょくそう)

 

当院でもこれらの治療を基本とし、半身不随に見られる肩関節・手首や指の拘縮、足首の内反尖足などの症状の改善を主な目的として治療を行っています。
それは上記のように来院患者のほとんどが発症後1年近くたった患者さんだからです。
またこれらの症状は日常での生活を困難にさせる原因であり、これらの症状を改善することでADLを高めることができることから、患者さんにとっても介護する方にとっても最も改善を求められる症状でもあります。

 

この治療は針の刺激が強いため予め患者さんにはその方法と効果とそれなりの痛みがあることを説明してから行います。
そうでないと治療を継続して行うことは困難です。
この治療は手を無意識に握ってしまい、爪で手掌を傷つけてしまうような症状や内反尖足で足首が背屈できず、かがとをきちんとつけて歩けないような症状も合谷穴から後谿穴への透刺術や丘墟穴から照海穴への透刺術で徐々に改善してきます。
この治療にはこのように他の治療ではなかなか得られないすばらしい効果があります。

 

当院では更に肩関節の拘縮の強い患者さんへは鍼治療の他に特殊な運動法を行っています。
鍼治療を行うことで肩関節が緩みます。肩関節が緩まないとこのリハビリは行うことはできません。
肩関節が緩んだ後に特殊なリハビリを行っています。
肩関節に拘縮のある方は、腕を持ち上げようとすると強い痛みを感じてそれ以上持ち上げることができなくなります。
日常生活ではこの症状のために服の着脱や歩行などが困難となります。
この治療もまた、リハビリですので患者さんの治そうという努力がなければ続きません。
しかし、週に1回 1ヶ月ぐらいの治療で肩関節の拘縮が徐々に緩んできて、運動しているときに自分で肩に力が入っていることを感じられるようになってきます。

 

何よりもよい効果を得るためにはなるべく早く治療を開始することが必要です。
更に、患者さんの理解と努力がなければ続かない治療でもあります。
どんな治療でも患者さんと治療家の信頼関係が重要です。
特に「醒脳開竅法」は他の鍼灸治療以上に患者さんの頑張りが求められる治療です。
そのようなことから患者さんを励まして、患者さんと治療家の信頼関係を構築し、共に治していくのだという気持ちで治療に向かわなければならない治療です。

 

今回は当院で行っている「疎通経絡」を中心とした主に関節の拘縮や運動麻痺に対する治療についてご紹介しました。

 

 
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