『臨床に役立てたい長野式鍼灸治療法』という演題の講座を受講しました|松山市の鍼灸院|半身不随、うつ病、がん、不妊症

中医鍼灸 越智東洋はり院

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研修会・学会参加報告

『臨床に役立てたい長野式鍼灸治療法』という演題の講座を受講しました

研修会・学会参加報告 2016年09月26日

平成28年9月25日(日)に長野式臨床研究会四国支部長・鍼灸 東洋メディカル院長の森實陽一先生をお迎えして、『臨床に役立てたい長野式鍼灸治療法』という演題の講座を受講しました。
この研修会は愛媛県鍼灸師会が主催する研修会です。
長野式治療とは、「長野潔先生が40年の臨床から辛酸苦労し、西洋医学と東洋医学を融合させた独自の治療法である。」、と言われています。
西洋医学と東洋医学を融合させた独自の治療といわれるように、その理論は独特なものでした。
特に切診の脈診・切経・腹診を重視し、一定の症状にはこのツボを使うというように診断と治療が簡潔にまとめられているというような印象を受けました。
長野先生が触診を重視し、自律神経の変動を重視しているということがその治療体系から示唆できます。
診断と治療が簡潔にまとめられていることからその理論は理解しやすく、また西洋医学的な考えから病態を理解するということもあり、初心者には受け入れやすいものではないかと思いました。
しかし、簡潔にまとめるということは、治療が画一的になりやすく、応用範囲がなかなか広がらないということもあるのではないかと考えられます。
患者さんの症状は決して同じものはありません。また西洋医学的には理解できないことや不思議な現象も起こります。
それらをどのように理解し、治療に導く事ができるのか、それらを解釈するための理論体系が必要となります。
診断が触診を根拠とするということは、そこには長い経験と施術者の鋭敏な感覚が必要となります。
そのことから考えますとオーダーメイドの治療はできますが、一般化するにはかなりの工夫が必要となるでしょう。
私が行っている中医鍼灸は、中国で生まれたものですが、日本ではどういうことか日本独特の治療や東洋医学とは言えないような鍼灸治療も行われています。
鍼灸は中国で生まれたものですが、日本への導入時に、当時の医書の少なさ、理解不足や誤った解釈、一つの理論に特化して発展したもの、経験から変容したもの、西洋医学に基づくものなど、これらが複雑に絡み合って現在の日本の様々な鍼灸治療が創造され、現在の色々な鍼灸の治療法が存在しているのだと考えられます。
鍼灸は経験醫學です。
経験はより良いものを作るために最も重要なものです。
そのため経験を継承することは重要です。しかし、短い期間での経験から作られた理論は未完成であると考える事も必要です。
現在行われている現代医学もまた未完成と考えるべきでしょう。発展途上ということです。
これは否定しているのではなく、発展的により良いものを作るための途上段階であると考えるということです。
私が行っている中医鍼灸は三千年といわれるほどの長い歴史の上に作られた理論であります。しかし、中医学もまだ発展途上と考えるべきでしょう。
これは東洋医学一般に言えることですが、患者さんが表している症状から診断治療するということなので、西洋医学のように病名がなければ治療できないということはありません。
その点では西洋医学よりも優れているといえます。
実は私は東洋医学には心理学のテクニックが最も役立つのではないかと考えて15年以上心理学に係る勉強を続けています。
人間の心を理解することは東洋医学だけでも無理ですし、現代医学でも理解することはできません。
私の治療は「心身一如」ということを基本としていますので、心をどのように理解するのか、心は体にどのような変化を与えるのか、客観的に可視化することができればより治療効果が高まると考えています。
大変難しいテーマでありますが、人間のみが認知という特殊な機能を与えられたのです。
そのようなことを考えますと、こころを鍼灸治療ですこしでも変化させることができるならば、鍼灸は画期的な治療となり、高い効果を得ることができるでしょう。
今回の長野先生の治療は自律神経の変化を最も重視していることが診断治療理論の中から示唆されます。
そのことはハンス・セリエのストレス学説から診断治療の説明をされたことからもわかります。
これもまた心というものを切り離して考えることはできず、自律神経ということで心をとらえようとしているともいえます。
このことは、こころ、感情、認知などと様々な言い方はできますが、人間の心が病気には必ずかかわっており、この心の変化を調節することが鍼灸の治療の効果を決めるポイントであり、私が目指している治療も正に同じような方向性を持っていると感じました。
「鍼灸は気を動かして治療する」、この気とは目に見えないエネルギーであり、こころの変化もまたこの気の働きにより発生するものです。
当然のことですが、健康にはこころ健やかに暮らして行くことが最も重要なのです。
東洋医学の中で、私がなぜ中医鍼灸を学んだのかというと、人間の感覚だけでは特に触診を重視した診断法では、誤った診断となる恐れもありますし、確固とした医療となるためには診断の根拠を客観化しなければならないという最も重要な点で中医学理論が優れていると考えたからです。
数少ない情報ではなく、より多くの情報を利用することができるという点で中医学は優れているのです。
多くの情報から導き出された根拠は、数少ない情報から導き出された根拠よりも、詳細な検討ができるし、より誤りにくく、様々な検討が可能となります。
中医学理論は様々なデータを得ることができます。そして、それらを統一的に理解することもできます。
それは診断法が原因ごとに詳細に検討され、それらの理論は最終的には生理と病理を一つの基本理論「蔵象学」で解釈理解することができるからです。
更に、様々な学問もこの「蔵象学」で解釈することでそれらの知見も利用することができると考えています。
今後も様々な学際的といわれるような取り組みを行い、西洋医学はもちろんのこと、心理学や様々な異なる学問も中医学の大きな枠組みの中で解釈し実践に応用し、よいものだけを継承していくという気の長い作業が続いていくことと思います。

 

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