介護予防運動指導員講座(老年症候群から転倒・寝たきりの予防、健康寿命の延長)|松山市の鍼灸院|半身不随、うつ病、がん、不妊症

中医鍼灸 越智東洋はり院

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整形外科系

鍼灸と介護予防運動指導員講座(老年症候群から転倒・寝たきりの予防、認知症予防、健康寿命の延長)

整形外科系 2016年10月01日

介護予防運動指導員養成講座に参加しました。

四国では初めての開講です。6月の二日間、7月の二日間、8月の一日の合計7日間一日中缶詰状態で開催されるなかなかハードな研修内容でした。この講座は東京都健康長寿医療センター研究所のマニュアルに従って、(公社)日本鍼灸師会が主催で開催される講座です。昨日試験の合格通知が届きましたので、介護予防運動指導員の必要性について私の考えを述べたいと思います。当院は中医鍼灸を専門に行っているので、運動指導を行うことは物理的に難しい状態です。患者さんも赤ちゃんから90歳代まで様々な年代の方が来院しています。介護予防運動の指導を行おうとすると、そのことに時間がとられてしまい、鍼灸治療の時間が短くなります。そのような中でなぜ介護予防指導員なのかということは疑問に思われることでしょう。私自身もあまり興味はありませんでしたが、愛媛県での開催ということですので、付き合いで受光したというのが正直なところです。しかし、高齢者の患者さんが最も心配なことは要介護状態にならないこと、それは寝たきりや認知症を予防したいということです。高齢者に多い症状は、肩痛・膝痛・腰痛などの運動器症状と、頭のふらつきや慢性疲労などの循環器症状、そして便秘や食欲不振などの消化器症状、そして認知症予防や不眠などの脳神経科症状で、様々な症状を訴えます。これらの症状は、根本的な原因は老化であり、一般的に老年症候群と呼ばれています。そしてこれらの症状は転倒の原因でもあり、高齢者の皆さんが最も恐れている最終的な寝たきりの要介護状態への始まりでもあります。このようなことを考えますと、単に症状を改善するということだけでなく、その一歩先を考えた積極的な「介護予防」ということが必要ではないかと思います。高齢者の患者さんはまさにこのことを望んでいるのです。

 

では「介護予防」にはどのようなことが必要なのでしょうか。介護予防(不健康余命期間の短縮)は老若男女を問わず全ての人にとって重要です。特に高齢になるほどその必要性は高くなります。

鍼灸院では、その原因である「老年症候群」に対してはその一つ一つの症状に対して鍼灸治療することで老化が原因ですので、完治ということは難しいですが、ある程度症状を緩和する対応ができます。

 

今回の研修では、さらに高齢者の健康余命延長に関して新しい視点として「虚弱」(フレイル)について学び、健康余命に必要不可欠である「体力」を向上する有効な方法としての高齢者向けの筋力運動の実際(教室プログラム・アドバイス内容)などを学びました。このことで、医療としての鍼灸サービス、介護予防としての老年症候群対策などをアドバイスできればと考えています。

 

今回の研修の中でいくつかの興味深い内容がありましたのでまとめて書いておきます。

ご参考にしてください。

 

 

健康長寿の要因

ここでは健康長寿に関係する科学的に根拠のある養陰のみを紹介します。中には、えっと思うような今まで勘違いしていたような内容もありますので、ご参考にしてください。A 高齢者の健康余命を延長する要因強い要因

・仕事や活発な社会活動をしていること

・健康度自己評価が良いこと

・体力があること(筋力、バランス能力、歩行能力が高いこと)

要因

・適度な飲酒

・アルブミン値が低くないこと

・コレステロール値が低くないこと

 

 

B 高齢者の健康余命を短縮する要因

強い要因

・睡眠時間が長いこと

・咀嚼力が落ちること

・過去1年で入院歴があること

要因

・喫煙

・抑うつ傾向があること

・視力が落ちること

・過去1ヵ月で通院歴があること

・慢性疾患があること

 

(TMIG-LISAより)

出典; Shinkai et al.Geriatr Gerontol ●nコCsuppl):S31 -39.2003

  主な老年症候群対象者を知る方法

 
主な老年症候群のうち、体力・栄養・口腔機能・認知機能などの状態を知る方法です。A 体力・運動機能の状態を知る方法・階段を手すりや壁をつたわらずに上っていますか。

・椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上かっていますか。

・15分位続けて歩いていますか。

・この一年間に転んだことがありますか。

・転倒に対する不安は大きいですか。

 

  • 3つ以上に該当する場合は、体力の低下が原因となる要介護のリスクが高い

 

 

B 認知機能の状態を知る方法

・周りの人から「いつも同じ事を聞く」などの物忘れがあると言われますか。

・自分で電話番号を調べて、電話をかけることをしていますか。

・今日は何月何日か、わからない時がありますか。

 

  • 1つ以上に該当する場合は、認知機能が原因となる要介護リスクが高い

 

 

C 口腔機能の状態を知る方法

・半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか。

・お茶や汁物などでむせることがありますか。

・口の渇きが気になりますか。

 

  • 2つ以上に該当し、かつ口腔内不衛生とRSSTテスト2回未満の場合は、口腔機能低下が原因となる要介護のリスクが高い

※RSST (repetitive saliva swallowing test)

反復唾液嚥下テスト。喉頭隆起・舌骨に指腹をあてて30秒間嚥下運動を繰り返す。

 

 

D 栄養の状態を知る方法

・6か月間で2~3kg以上の体重減少がありましたか。

・BMIはどのくらいですか。(BMI 18.5以下は要注意)

 

  • 2つとも該当する場合は、低栄養が原因となる要介護のリスクが高い

 

 

E 閉じこもりの状態を知る方法

・週に一回以上は外出していますか。

・昨年と比べて外出の回数が減っていますか。

 

  • 第1の質問に該当した場合は、閉じこもりが原因となる要介護リスクが高い(特に第2の質問も該当の場合は要注意)

 

 

F 生活全般の状態を知る方法

・バスや電車で一人で外出していますか。

・日用品の買い物をしていますか。

・預貯金の出し入れをしていますか。

・友人の家を訪ねていますか。

・家族や友人の相談にのっていますか。

 

  • A~Fの質問(20問)のうち10以上に該当する場合は、現在の生活全般が原因となる要介護リスクが高い

 

 

G うつ状態を知る方法

・(ここ2週間)毎日の生活に充実感がない。

・(ここ2週間)これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった。

・(ここ2週間)以前は楽にできていたことが今ではおっくうに感じられる。

・(ここ2週間)自分が役に立つ人間だと思えない。

・(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする。

 

  • 2つ以上に該当する場合は、うつが原因となる要介護リスクが高い

 

体力測定

介護予防運動指導員ですから、体力測定により正しく被検者の体力を知らなければなりません。体力(運動機能)は健康余命期間延長の重要な要因です。ここでいう運動機能は、筋力・バランス能力・歩行速度のことです。現状の体力を測定・評価することで老年症候群の傾向と対策が把握できます。内容についてはスペースの問題から省略します。 

高齢者の老化を遅らせるための食生活指針

介護予防には食事が重要です。下記の項目を参考にして食生活を改善しましょう。①3食のバランスをよくとり、欠食は絶対さける

 

②動物性蛋白質を十分に摂取する

 

③魚と肉の摂取は1:1程度の割合にする

 

④肉は、さまざまな種類を摂取し、偏らないようにする

 

⑤油脂類の摂取が不足しないように注意する

 

⑥牛乳は毎日200ml以上飲むようにする

 

⑦野菜は、緑黄色野菜・根野菜など豊富な種類を毎日食べる。火を通して摂取量を確保する

 

⑧食欲がないときはとくにおかずを先に食べごはんを残す

 

⑨食材の調理法や保存法を習熟する

 

⑩酢、香辛料、香り野菜を十分に取り入れる

 

⑪調味料を上手に使いおいしく食べる

 

⑫和風、中華、洋食とさまざまな料理を取り入れる

 

⑬会食の機会を豊富につくる

 

⑭かむ力を維持するため●齲歯は定期的に点検を受ける

 

⑮健康情報を積極的に取り入れる

 

熊谷修、他 日本公衆衛生雑誌46、1999

 

基本チェックリスト(厚生労働省のホームページより)

ここでは厚生労働省が作成した基本チェックリストの質問項目についてご紹介します。①バスや電車で1人で外出していますか②日用品の買い物をしていますか③預貯金の出し入れをしていますか

④友人の家を訪ねていますか

⑤家族や友人の相談にのっていますか

⑥階段を手すりや壁をつたわらずに昇つていますか

⑦椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がつていますか

⑧15分位続けて歩いていますか

⑨この1年間に転んだことがありますか

⑩転倒に対する不安は大きいですか

⑪6ヶ月間で2~3kg以上の体重減少がありましたか

⑫身長   cm  体重    kg  (BMI =  )(注)

⑬半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか

⑭お茶や汁物等でむせることがありますか

⑮口の渇きが気になりますか

⑯週に1回以上は外出していますか

⑰昨年と比べて外出の回数が減つていますか

⑱周りの人から「いつも同じ事を聞く」などの物忘れがあるといわれますか

⑲自分で電話番号を調べて、電話をかけることをしていますか

⑳今日が何月何日かわからない時がありますか

㉑(ここ2週間)毎日の生活に充実感がない

㉒(ここ2週間)これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった

㉓(ここ2週間)以前は楽にできていたことが今はおつくうに感じられる

㉔(ここ2週間)自分が役に立つ人間だと思えない

㉕(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする

(注1) BMI =体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)が18.5未満の場合に該当とする

 

詳細は下記の基本チェックリストをクリックしてご覧ください。

基本チェックリスト

 

 

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