「認知症に対する鍼灸治療の役割と可能性 ~認知症の人に対する全人的・総合的な鍼灸治療のアプローチ~ 」第3回生涯研修会開催報告|松山市の鍼灸院|半身不随、うつ病、がん、不妊症

中医鍼灸 越智東洋はり院

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研修会・学会参加報告

「認知症に対する鍼灸治療の役割と可能性 ~認知症の人に対する全人的・総合的な鍼灸治療のアプローチ~ 」第3回生涯研修会開催報告

研修会・学会参加報告 2019年10月27日

去る令和元年9月15日(日)に松山市民会館にて、講師に学校法人後藤学園中医学教育臨床支援センター長の兵頭明先生をお招きして、「認知症に対する鍼灸治療の役割と可能性 ~認知症の人に対する全人的・総合的な鍼灸治療のアプローチ~ 」と題して、第3回生涯研修会が開催されました。

 

大変興味深い研修会でしたので、その内容をご紹介いたします。

 

冒頭に先生は今の認知症問題について、“65歳以上の高齢者のうち認知症を患う人は推計15%で、2012年時点で462万人にのぼることが、厚生労働省研究班の調査でわかった。軽度認知障害(MCI)と呼ばれる「予備軍」が約400万人いることも初めてわかったと報告されている。2015年1月7日、厚労省は2025年には認知症を患う人の数は675万~ 730万人に達するとの推計値を発表した。これは約10年で1,5倍にも増える見通しである。出典:朝日新聞apitalより引用”と今後の認知症問題の緊急制とその重要性について説明した。

 

兵頭先生はこの深刻な認知症問題に対して、「三焦鍼法」を用いた鍼灸治療が認知症予防に一定の効果があることを十数年にわたる鍼灸臨床データを根拠に説明した。「三焦鍼法」は、中国天津中医薬大学韓景献教授が開発したものである。

 

認知症の改善には先ず生活習慣病対策が重要であること、そして一般的には老年症候群からフレイル状態、認知症へと進んでいく。この「三焦鍼法」は、認知症だけを対象にしたものではなく、老年症候群やフレイル対策にも効果があり、それがひいては認知症対策につながるのだという。

 

今回の研修会では、私たち鍼灸師に求められている社会的な役割りと今後の進むべき方向性について考える良い機会となったと思います。

私は講義の中で先生がご紹介した(一社)老人病研究会が進めている「認知症 Gold-QPD 育成講座を受講することにしました。この「認知症 Gold-QPD 育成講座」は MOOC 様式を採用し、Gold-QPDmooc 事前学習制となっており、認知症 Gold-QPD 鍼灸師(ないし医師)を養成する講座です。

 

私は、以前、中国の天津第一附属病院に留学し、石学敏教授(当時は医院長)の醒脳開竅法を学びました。その技術を活かして当院では脳血管障害の治療を専門的に行っています。

 

今回私が受講することにした研修で行われている「三焦鍼法」は、石学敏教授の教え子の韓景献教授(現在の医院長)が考案したもので、私が行っている醒脳開竅法をベースとして新たなより広い脳の症状に対応するために考案されたと私は解釈しました。脳血管障害は血管性の認知症を発症します。そのような患者様に対してどのような中医学的な対応ができるのだろうかと考える中で生まれたのではないかと、兵頭先生の講義を拝聴する中で、私なりにいろいろ考えました。つまり、醒脳開竅法は急性期に、三焦鍼法は慢性期にというように用いることができるのではないかと思います。

 

認知症は老化病ともいわれており、効果的な薬もなく、最も治療が困難な病気の一つと言えます。発症する前に対応することで、その発症を遅らせたり、発症自体を防ごうというのがいま政府が目指している方向です。その一つの方法として、鍼灸による三焦鍼法が考案されたのです。私たち鍼灸師でなければできない鍼灸という伝統的な治療法が期待されているのです。

 

当院も来年にはこの三焦鍼法をベースとした認知症予防鍼灸外来を開始できればと考えています。少しでも認知症の予防に貢献できるよう努力したいと思っています。

 

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