痛みと鍼灸治療 慢性疼痛や原因不明の痛みに対する鍼灸治療|松山市の鍼灸院|半身不随、うつ病、がん、不妊症

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整形外科系

痛みと鍼灸治療 慢性疼痛や原因不明の痛みに対する鍼灸治療

整形外科系 2016年08月08日

痛みを伴う病気は数多く、鍼灸院には様々な痛みを訴える患者様が多く来院しています。今回は、この「痛み」についてそのメカニズムと対策についてご紹介します。

 

現在、慢性痛を訴える患者様が増えています。組織損傷から一般的な治癒期間を超えても続く慢性痛や原因不明の慢性痛に関しては、薬剤の効果は少なく、決定的な治療薬は無いのが現状です。鍼灸は、このような症状に対して副作用がほとんどないことから、安心して継続した治療が受けられます。自分の「痛み」を知って、「痛み」とうまくつきあっていきましょう。

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痛みとは、

普段私たちが感じる「痛み」には、切り傷や打撲による痛み、すぐに治る痛みや長く続く痛み、刺すような痛みやだるい痛みなど、さまざまな種類の「痛み」があります。また、痛みを感じる部分も、腰、首、頭、足など、いろいろです。国際疼痛研究学会(IASP)では、「痛みは実際の、または潜在的な組織損傷を伴う不快な感覚的、精神的な経験」と定義しています。つまり、痛みは体が何らかの障害を受けたときに生じる単なる刺激ではなく、心や感覚が伴った苦しみ、ということになります。 

実は、痛みは防禦機能の一つです。私たちは痛みを感じることで、自分の体を正常に維持し、細菌などの敵から自己を守っているのです。

痛みはその性質から、いろいろな種類に分けられる
①痛む時間で分類基本的に急激に起こる痛みが「急性痛(ケガなど)」、急性痛に引き続いて0.5~2か月持続する痛みを「亜急性痛」、3~6カ月以上痛みが続くものを「慢性痛(関節リウマチや三叉神経痛など)」と言います。②病気の種類によって2~3週間でも慢性痛という場合もあります。急性痛をもたらす病気を治療しても痛みが残れば、それは慢性痛と考えます。

 

③痛みを感じる場所で分類体の表面が痛む「体性痛」と内側が痛む「内臓痛」があります。体性痛はさらに皮膚や粘膜の障害で起こる「体表痛(火傷や打撲など)」と、筋肉や骨の「深部痛(骨折など)」があります。

 

③痛みの原因で分類

大別すると「侵害受容性疼痛」「神経障害性疼痛」「心因性疼痛」「中枢性疼痛」があります。侵害受容性疼痛は器官や臓器が傷害されたときに、そこにある末梢神経から痛みが発せられるものです。ほとんどの痛みはここに含まれます。神経障害性疼痛は痛みを伝える神経そのものに問題が生じて起こる痛みです。「心因性疼痛」は神経や体には問題があまりないのに発生する痛みであり、「中枢性疼痛」は神経の中心にある中枢神経そのものがやられてしまうことで起こる痛みです。

 

痛みのメカニズム
痛みの刺激が起きてから、「痛い!」と感じるまでの流れについて簡単にご紹介しましょう。痛みを伝えるのは体の中を縦横する神経です。神経は大きく中枢神経系(脳や脊髄など)と自律神経系(交感神経と副交感神経)、末梢神経系の3つに分類されます。

 

何かにぶつかった、あるいは皮膚を切った、火傷をした、そんなとき、最初に痛み刺激を感じ取るのは、末梢神経の先にある‘センサー《’、即ち侵害受容器です。そこが興奮することで末梢神経に痛み刺激が伝わります。自由神経終末

図1 自由神経終末

 

末梢神経は太さによって、いくつかに分類され、それぞれ伝える刺激が違います。痛みの刺激を受け持つのは、少し太めのAδ線維と細いC線維です。Aδ線維は痛みを一瞬で感じ取り、素早く中枢神経に伝え、C線維はやや遅れて痛みの刺激を送ります。

 

ケガをした時、「イタッ!」と反射的に痛みが走り、しばらくしてからジーンと焼けるような痛みが湧いてくるのは、そのためです。

 

痛みの悪循環とは、
「肩こりを我慢していたら、首や背中にまで痛みが広がり、吐き気がしてきた」という経験をしたことはありませんか?

 

これは痛みを我慢して、さらに痛みが広がるという悪循環を招いたからです。肩や腰などある部分に痛みが起こると、そこだけ交感神経が緊張します。その結果、筋肉の緊張が強まったり、血管が収縮したりします。これにより血液循環が悪くなるため、その部分に新鮮な酸素や栄養がとどこおります。実は血液循環の低下、酸素不足は、痛みをもたらす「発痛物質」を産生させます。そのため痛みがさらに強まります。痛みが痛みを招く「悪循環」を招いたのです(図2 痛みの悪循環を参照)。

 

痛みの悪循環

図2 痛みの悪循環

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軽い痛みでも我慢しないで早めに対処することは早期治癒を促すためにも必要なことです 

痛みは記憶される
ケガや病気、あるいは手術などで痛みを感じると、この痛みの刺激は中枢神経に記憶される一種の「痛みの中枢への感作」が起こります。この中枢への感作によって、常に脳や脊髄が刺激されると痛みの原因になる刺激がなくても、脳はいつも痛みを感じ続けてしまい、ケガや病気が治っても、その部分がまるでそのケガや病気が起きているかのように、痛み続けることがあります。 

単なる慢性痛と異なる点は、末梢神経がこの痛みの記憶の影響で、過敏になっているため、ちょっと触っただけの軽い刺激でも、強い痛みを感じる点です。

 

ストレスから発生する心因性疼痛
社会的、精神的なストレスがきっかけで起こるとされている「心因性疼痛は、痛みの原因となる病気が見つかりません。慢性頭痛、慢性腰痛、三叉神経痛などによくみられます。

うつ病と慢性疼痛との関係
うつ病でも慢性痛を訴える患者様が多くみられます。うつ病は脳の神経間で、情報のやり取りがうまくいかず、うつ症状をもたらす状態ですが、痛みに関しての感受性が高まり、痛みの感じ方がいっそう強くなる傾向があります。慢性痛からうつ症状を訴えることも多く、「痛み」はこころと密接に関係しており、このようなケースではこころのケアも必要となります。

痛みの治療について
ここで現在行われている痛みの治療について簡単にご紹介します。一般的な「痛み」は、ほとんどが、損傷部痿から末梢神経を通じて脳に伝わった痛みです。この痛みの伝わり方を知ることで、自分の痛みや現在服用している薬がどうして効くのかなどを知ることができます。下記の図3 痛みのメカニズムと防御機能をご覧ください。

痛みの治効機能

図3 痛みのメカニズムと防御機能

上記の痛みのメカニズムの項でも書きましたように、ケガをした場合、最初に皮膚にある痛みを感じるセンサーが反応します(図1 自由神経終末)。このセンサーは末梢神経線維の末端に存在し、切り傷や針で刺された刺激、45℃以上の熱さ、15℃以下の冷たさ、酸やアルカリなどの化学に反応します。

 

このセンサーが感じた情報は、末梢神経を通って脊髄神経に伝えられ、最終的に、脳で「痛み」として認識されます。脳はその情報から、痛みの部位や痛みの性質、痛みの強さを判断します。

そして、「痛い」と感じている傷の場所では、下記のような現象が起こっています。

 

①傷や熱、酸・アルカリの刺激を受けて、細胞が傷つく。

②傷ついた細胞から、カリウムが放出。それがきっかけとなり、痛みを感じやすくするプロスタグランジンやロイコトリエンといった、体の働きを調節する物質が作られる。

⇒この段階に作用させるのがプロスタグランジンの生成を阻害する薬。一般的に言われている非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)。

③ 神経からは、サブスタンスPという痛み増強物質が放出される。サブスタンスPによって、傷の痛みや腫れ、赤みなどが増強されます。

④また、血液中の肥満細胞からはセロトニン、血小板からはヒスタミンといった、さらなる痛み物質が誘発します。

⑤痛みセンサーはますます興奮し、痛みが拡大していきます。

⑥この拡大した「痛み」情報は、体の損傷や不具合を脳に伝え、その対策を立てるよう脳に促します。

生体はこのようにして痛覚神経が長時間「痛覚過敏」の状態になるように努力しているのです。痛みは脳に対して長時間信号を送り「激しい行動」を強制的に控えさせようとしているのです。生体はそうやって体を守ろうとしています。

 

私たちにとって痛みや腫れは速く取り去りたい悪者と感じるでしょうがそのような考え方は改めたほうがよいでしょう。結果的に私たちは腫れが引くまでしばし行動をひかえて安静にすることになります。この痛みや腫れのおかげで細胞の損傷を早く回復することができるのです。このような防御機能としての痛みのメカニズムがご理解頂けたでしょうか?

次に、痛み止めの作用機序をお話します。まず、痛み止めの種類からお話しします。

  • 痛み止めの種類は、主に3種類です。

①医療用麻薬〔精神的・身体的依存性があり、強い鎮痛作用を持つ。手術やガン性疼痛の鎮痛治療薬として使用)、

②非麻薬性鎮痛薬(NSAIDs〔脳への働きは弱く、鎮痛作用・熱を下げる作用。炎症を抑制する働き。〕

③局所麻酔薬〔痛みを伝える神経線維の興奮を抑制し痛みを除去。〕

の三つに大別できます。

皆さんが病院や薬局で処方される痛み止めは、ほとんどが非麻薬性鎮痛薬(NSAIDs)です。

代表的な薬には、ロキソニン、ボルタレン、ロピオン、アスピリンなどがあります。

  • 痛みを起こす物質は2つに大別できます。

①痛みセンサーを興奮させ、痛みを引き起こす痛み物質には、カリウム、セロトニン、ブラジキニン、ヒスタミンなどがあります。

②一方で、痛みセンサーを直接には興奮させず、痛み物質の作用を強める物質があります。サブスタンスP、ロイコトリエン、プロスタグランジンなどがあげられます。

非麻薬性鎮痛薬(NSAIDs)は、このプロスタグランジンの産生を抑制することで、痛み止めの効果を発揮します。

病院で処方される痛み止めは強い、市販の痛み止めが弱い、と思い込んでいませんか? 自己流で、長期間、市販の痛み止めを服用している方が来院されますが、痛み止めである以上、胃腸障害や腎機能障害などの副作用は起こりえます。

痛み止めは、症状や状態などに適した薬の使い分けが必要です。

痛み止めにはその鎮痛効果だけではなく、胃潰瘍や腎臓障害などの副作用があることをを考慮して服用することが大切です。

比較的長期間連用が可能な痛み止めとしては、胃腸障害が少ないCOX-2(コックスツー)選択的阻害剤で、セレコックスやロルカムなどをあげることができます。

痛みをやわらげる対策
  • 薬による治療

鎮痛剤、鎮痛補助薬があり、それぞれ注射薬、内服薬、坐薬などがあります。

高齢者は、肝臓や腎臓の機能が著しく低下していないかを確かめた上で、成人の半分程度の量からはじめるなどの服用上の注意が必要です。

坐薬は肛門から挿入して使う薬です。直腸下部の血管は肝臓を通らず直接血流にはいるため薬が肝臓で分解されることなく、また消化管も通らないことから、胃腸障害も少なく、効きめが速いという特徴があります。

  • 神経ブロック療法による治療

これは、脳脊髄神経、脳脊髄神経節、交換神経節などに向かって針を刺し入れ、そこに局所麻酔薬を注入したり、あるいは針の先端で冷却したり、熱凝固で痛みを止めるなど、痛みが伝わる経路を遮断して効果的に痛みを取る方法です。痛みのない顔面神経まひ、顔面けいれん、突発性難聴などの病気の治療にも応用されています。

  • 外科療法

何れも痛みの伝わる経路を外科的方法によって遮断し、痛みをとる方法です。

脊髄や脳の中に電極を埋め込んで電気刺激により痛みの信号を遮断して痛みをとる方法、痛みの伝わる経路である脊髄視床路を高周波電気で凝固する方法、三叉神経痛の神経血管減圧術などがあります。

  • 刺激鎮痛法

痛みの伝わってくる中脳水道中心灰白質や視床核などの皮質下に電極を埋め込んで痛みの電気信号を遮断し痛みをとる皮質下脳刺激法、脳下垂体にアルコールを注入して脳下垂体抑制系を化学的に刺激し、がんによる全身の痛みをとる脳下垂体刺激法などがあります。

  • 物理療法

特に温熱療法と寒冷療法はよく知られています。

温熱療法は、ホットパック、パラフィン浴、マイクロ波によるものなどがありますが、これらは温熱により痛みを抑え、血流を増やし、筋肉の緊張を解いて痛みをやわらげるものです。

寒冷療法は、クロールエチルスプレーやアイスパックなどがありますが、原理は長時間冷やすと知覚神経がまひして痛みを感じなくなることを応用したものです。

【市販の湿布薬の選び方】

市販の湿布薬には冷やすものと温めるものがあります。

打撲や捻挫などをして熱やはれ、痛みがあるときは冷湿布、熱がなく慢性的な痛みなら温湿布をするのが原則です。

どちらを使ったらよいか判断に迷ったときはまず冷湿布し、一日様子を見て不快感があったり悪化するようなら温湿布に切り替えます。それでも良くならないなら整形外科を受診してください。

洋医学療法(鍼灸による痛みの治療)

図2は、痛みの仕組みを簡略化して表したものです。緑の⇒はもともと人間が持っている痛みに対する防禦機能です。

 

鍼灸治療は図3 痛みのメカニズムと防御機能の緑の⇒で示した働きを高めようとするもので、その効果は科学的にも証明されつつあります。

東洋医学では、痛みについて「不通則痛、通則不痛」(通ぜざればすなわち痛み、通ずれば則ち痛まず)という言葉があります。川の流れがスムーズであれば水は濁らず綺麗なままですが淀み滞ると濁りやすくなってしまいます。同じように、体の気血の流れがスムーズであれば健康を保てますが、気血が滞ると痛みや不調の原因となります。

鍼灸治療ではツボに刺激をすることでその流れをスムーズにし、痛みを解消します。また、気血の通り道である経絡の流れを整える事により五臓六腑に栄養がきちんと運ばれ健全な働きを保つことが出来ると考えます。

鍼灸治療は様々な痛みに対して鎮痛効果があります。

検査をしてもとくに異常がなく、それにもかかわらず慢性的に続く頭痛、むちうち損傷で発生した痛みやさまざまな症状、長く続く坐骨神経痛や三叉神経痛などの神経痛、慢性の肩こりや腰痛など、また、がんの末期の痛みやそれに伴う不眠、不安、うつ状態、食欲不振などにも大変効果があります。

慢性疼痛でお悩みの方は、あきらめないで当院まで一度ご相談ください。

 

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