鍼灸と介護予防運動指導員講座(老年症候群から転倒・寝たきりの予防、認知症予防、健康寿命の延長)
整形外科系 2016年10月01日
介護予防運動指導員養成講座に参加しました。
では「介護予防」にはどのようなことが必要なのでしょうか。介護予防(不健康余命期間の短縮)は老若男女を問わず全ての人にとって重要です。特に高齢になるほどその必要性は高くなります。
鍼灸院では、その原因である「老年症候群」に対してはその一つ一つの症状に対して鍼灸治療することで老化が原因ですので、完治ということは難しいですが、ある程度症状を緩和する対応ができます。
今回の研修では、さらに高齢者の健康余命延長に関して新しい視点として「虚弱」(フレイル)について学び、健康余命に必要不可欠である「体力」を向上する有効な方法としての高齢者向けの筋力運動の実際(教室プログラム・アドバイス内容)などを学びました。このことで、医療としての鍼灸サービス、介護予防としての老年症候群対策などをアドバイスできればと考えています。
今回の研修の中でいくつかの興味深い内容がありましたのでまとめて書いておきます。
ご参考にしてください。
健康長寿の要因
・仕事や活発な社会活動をしていること
・健康度自己評価が良いこと
・体力があること(筋力、バランス能力、歩行能力が高いこと)
要因
・適度な飲酒
・アルブミン値が低くないこと
・コレステロール値が低くないこと
B 高齢者の健康余命を短縮する要因
強い要因
・睡眠時間が長いこと
・咀嚼力が落ちること
・過去1年で入院歴があること
要因
・喫煙
・抑うつ傾向があること
・視力が落ちること
・過去1ヵ月で通院歴があること
・慢性疾患があること
(TMIG-LISAより)
出典; Shinkai et al.Geriatr Gerontol ●nコCsuppl):S31 -39.2003
主な老年症候群対象者を知る方法
・椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上かっていますか。
・15分位続けて歩いていますか。
・この一年間に転んだことがありますか。
・転倒に対する不安は大きいですか。
- 3つ以上に該当する場合は、体力の低下が原因となる要介護のリスクが高い
B 認知機能の状態を知る方法
・周りの人から「いつも同じ事を聞く」などの物忘れがあると言われますか。
・自分で電話番号を調べて、電話をかけることをしていますか。
・今日は何月何日か、わからない時がありますか。
- 1つ以上に該当する場合は、認知機能が原因となる要介護リスクが高い
C 口腔機能の状態を知る方法
・半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか。
・お茶や汁物などでむせることがありますか。
・口の渇きが気になりますか。
- 2つ以上に該当し、かつ口腔内不衛生とRSSTテスト2回未満の場合は、口腔機能低下が原因となる要介護のリスクが高い
※RSST (repetitive saliva swallowing test)
反復唾液嚥下テスト。喉頭隆起・舌骨に指腹をあてて30秒間嚥下運動を繰り返す。
D 栄養の状態を知る方法
・6か月間で2~3kg以上の体重減少がありましたか。
・BMIはどのくらいですか。(BMI 18.5以下は要注意)
- 2つとも該当する場合は、低栄養が原因となる要介護のリスクが高い
E 閉じこもりの状態を知る方法
・週に一回以上は外出していますか。
・昨年と比べて外出の回数が減っていますか。
- 第1の質問に該当した場合は、閉じこもりが原因となる要介護リスクが高い(特に第2の質問も該当の場合は要注意)
F 生活全般の状態を知る方法
・バスや電車で一人で外出していますか。
・日用品の買い物をしていますか。
・預貯金の出し入れをしていますか。
・友人の家を訪ねていますか。
・家族や友人の相談にのっていますか。
- A~Fの質問(20問)のうち10以上に該当する場合は、現在の生活全般が原因となる要介護リスクが高い
G うつ状態を知る方法
・(ここ2週間)毎日の生活に充実感がない。
・(ここ2週間)これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった。
・(ここ2週間)以前は楽にできていたことが今ではおっくうに感じられる。
・(ここ2週間)自分が役に立つ人間だと思えない。
・(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする。
- 2つ以上に該当する場合は、うつが原因となる要介護リスクが高い
体力測定
高齢者の老化を遅らせるための食生活指針
②動物性蛋白質を十分に摂取する
③魚と肉の摂取は1:1程度の割合にする
④肉は、さまざまな種類を摂取し、偏らないようにする
⑤油脂類の摂取が不足しないように注意する
⑥牛乳は毎日200ml以上飲むようにする
⑦野菜は、緑黄色野菜・根野菜など豊富な種類を毎日食べる。火を通して摂取量を確保する
⑧食欲がないときはとくにおかずを先に食べごはんを残す
⑨食材の調理法や保存法を習熟する
⑩酢、香辛料、香り野菜を十分に取り入れる
⑪調味料を上手に使いおいしく食べる
⑫和風、中華、洋食とさまざまな料理を取り入れる
⑬会食の機会を豊富につくる
⑭かむ力を維持するため●齲歯は定期的に点検を受ける
⑮健康情報を積極的に取り入れる
熊谷修、他 日本公衆衛生雑誌46、1999
基本チェックリスト(厚生労働省のホームページより)
④友人の家を訪ねていますか
⑤家族や友人の相談にのっていますか
⑥階段を手すりや壁をつたわらずに昇つていますか
⑦椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がつていますか
⑧15分位続けて歩いていますか
⑨この1年間に転んだことがありますか
⑩転倒に対する不安は大きいですか
⑪6ヶ月間で2~3kg以上の体重減少がありましたか
⑫身長 cm 体重 kg (BMI = )(注)
⑬半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか
⑭お茶や汁物等でむせることがありますか
⑮口の渇きが気になりますか
⑯週に1回以上は外出していますか
⑰昨年と比べて外出の回数が減つていますか
⑱周りの人から「いつも同じ事を聞く」などの物忘れがあるといわれますか
⑲自分で電話番号を調べて、電話をかけることをしていますか
⑳今日が何月何日かわからない時がありますか
㉑(ここ2週間)毎日の生活に充実感がない
㉒(ここ2週間)これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった
㉓(ここ2週間)以前は楽にできていたことが今はおつくうに感じられる
㉔(ここ2週間)自分が役に立つ人間だと思えない
㉕(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
(注1) BMI =体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)が18.5未満の場合に該当とする
詳細は下記の基本チェックリストをクリックしてご覧ください。
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