『脳卒中に対する鍼灸治療』(公社)愛媛県鍼灸師会生涯研修会参加報告|松山市の鍼灸院|半身不随、うつ病、がん、不妊症

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研修会・学会参加報告

『脳卒中に対する鍼灸治療』(公社)愛媛県鍼灸師会生涯研修会参加報告

研修会・学会参加報告 2021年01月12日

去る12月13日(日)にzoomアプリによる「コロナ特別企画無料オンライン講座」が開催された。この講座は、(公社)愛媛県鍼灸師会が主催で開催されたオンライン講座である。3密(換気の悪い密閉空間・多くの人が密集する場所・近距離での密接した会話)を避けるということから、愛媛県生活文化センターとオンラインというこれまでの研修会とは異なる形で開催された。全国の鍼灸師を応援したいということで、無料オンライン講座として企画され、全国から100名近くの申し込みがあったという。

 

本講座は、講師に埼玉医科大学准教授の山口智先生をお迎えして、「埼玉医大方式による脳卒中の鍼灸治療」~後遺症の改善と脳血流の増加反応に関するエビデンス~という演題で、脳卒中の後遺症や鍼治療が脳循環に及ぼす影響などを中心とし、頭痛の国際分類にある顔面痛(中枢性疼痛)を含めた内容で開催された。

 

山口先生はこれまで「医療連携」を大きなテーマとして、“がん”・“頭痛”“・脳卒中”などを中心とした西洋医学的な治療とその補完医療としての鍼灸の有用性について、埼玉医科大学での数十年にわたる実践を通して様々な研究発表を行っている。

 

厚生労働科学研究費補助金健康科学総合研究事業「地域脳卒中発症登録を利用した脳卒中医療の質の評価に関する研究、平成17年度総括・分担研究報告書」によると、2020年の脳卒中有病者数は286万人と推測されており、推計患者数(2020年)では、発症者数 336,394人/年、有病者数 2,865,102人、要介護者数 1,759,020人と発表されている。脳血管障害はわが国の死因第4 位であり、有病者数も110 万人を超え、地域医療、特に在宅医療において最も重要な疾患といっても過言ではない。

 

山口先生は、「当科においては後遺症である中枢性疼痛、痙性(痙縮)、肩手症候群等の西洋医学的に積極的な治療法が少なく、リハビリテーションの阻害因子になりやすい患者が神経内科やリハビリテーション科、脳神経外科等から診療依頼がある」という。

 

また、「鍼灸治療は個々の症状に対する治療とQOL の向上を目的とした共通治療に大別し、特に鍼通電療法を基本に実施しており、海外の報告や当科の臨床研究の成果より、後遺症や合併症に対し、概ね期待すべき効果が得られている。また、鍼治療を早期から開始することで、より有効性が高いことも示されており、急性期における鍼治療の有用性についても、今後検討する必要がある」と埼玉医科大学での鍼灸治療について詳しく説明した。

 

山口先生の講座の資料には、「脳血管の神経支配は上頸神経節由来の交感神経や、翼口蓋神経節や内頸神経節、耳神経節由来の副交感神経に加え、感覚神経である三叉神経の関与が明らかとなり、脳血管障害や片頭痛の臨床に重要な役割を果たしている。鍼灸治療においても、顔面部からの刺激が極めて有効性の高いことを痛感している。」と顔面部への刺鍼の重要性を指摘している。更に「鍼刺激による脳血流の増加反応は、患者と健常者、さらに患者でもその程度により反応に差異のある事が明らかとなり、こうした鍼治療による生体の正常化作用が伝統医療の特質と考えている。」と鍼灸治療の有用性を説いている。

 

今回の講座から、脳卒中や頭痛をはじめ、脳内の循環傷害などの問題から起こる症状に対して、鍼灸治療が西洋医学的な方面からの検討からも効果的であるということを埼玉医科大学での実践を通じて明らかにしていただいたと考えている。更に先生は、現在“認知症”に対する鍼灸治療の効果についての研究を行っており、鍼灸治療でよい効果が得られているとの報告があった。次回はこの分野での講義が望まれる。

 

当院は、脳卒中の専門鍼灸院として、20年以上「醒脳開竅法」を中心に鍼灸治療を行っている。その中で、驚くような効果は得られないものの、それなりの効果があることを確信している。西洋医学では、高位症ということで、積極的な治療がない現状を考えると、鍼灸治療は直接脳内に影響を与え、脳の活性化をはかり、症状の改善に役立っていると考えられる。

 

これまでも我々の鍼灸院には多くの脳卒中後遺症の患者様が来院している。我々鍼灸師は今後も西洋医学的に積極的な治療法が少ないこの分野で更なる貢献ができるように研鑽を積んでいく必要性を感じた。

 

中医鍼灸 越智東洋はり院

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